Ushinawareta-shoujo

Ushinawareta-shoujo

Posted by jack_miller | Published 7 months ago

With 1 ratings

By: Jiro Akagawa

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赤川氏のホラー風味のサスペンス小説。通常のユーモア・ミステリの中にも、人間心理のダークな面を忍ばせる赤川氏の持ち味が出た作品。

主人公は妻殺しの嫌疑を掛けられた過去のせいで、雪の山荘に隠遁した作家の伊波。そして、伊波の家に転がり込んで来た記憶を失った謎の少女。伊波の元愛人で現在は警視庁の警部小池の妻の律子。この愛人関係が殺人の容疑になった。事件の発端は、伊波の山荘の近くの別荘で死体も無いのに血痕が滴ると言う怪奇現象。その別荘の元の持ち主、柴田夫妻の娘は五年前に別荘から失踪し、そのショックで夫はノイローゼになり、監禁された自宅の二階から転落死する。一方、柴田夫人は一癖ありそう。そして、探偵役は"雪国のコロンボ"を思わせる村上警部。村上と小池は知己の間柄で共に事件に当たる。

これらの登場人物や事象が、山荘風の喫茶店の描写から始まり、無理なく説明される展開は流石に巧い。会話のテンポの良さも手伝って、読む者を自然と物語に引き込む。謎の少女の存在がなければ軽快なサスペンス小説と言って良い。だが、ここまで読むと、どう見ても謎の少女は柴田夫妻の娘の霊で、犯人は柴田夫人としか考えられない。バリバリのダーク・ホラーである。律子が伊波を訪れるが、それを見計らったように、謎の大男が連続殺人を犯し始める。大男はこの物語の中で一体どんな役割を果たすのか ? 大男の出現を知って柴田夫人も現場に駆けつける...。

最後の畳み込みに迫力があり、事件も合理的に解決されるのだが、大男の役割がご都合主義過ぎて物足りない。最後までホラーで押し通すべきだったのではないか。一応、楽しめる出来なのだが、大男や謎の少女を前面に出した方が更に良くなったと思う。

- edgar_evans

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